名探偵コナン 100万ドルの五稜星(100まんドルのみちしるべ)


劇場版名探偵コナンシリーズとしては第27作目。2024年に公開された『』は、主人公のコナンだけでなく、そのライバルである服部平次や怪盗キッドにスポットを当て、北海道・函館を舞台にあるお宝を探す“バトルミステリー”が描かれます。


そんな本作は『名探偵コナン』という枠を超えて、登場人物の設定を大きく動かす事件が描かれる驚きの映画となっていました。そんな『』(※記事内では『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』と記載)の驚きの詰まった内容が、どう驚かされるものだったのか。ネタバレありで解説していきます。

かつて新選組副長の土方歳三が手にしたとされる日本刀。そんな刀を狙って北海道・函館にある斧江財閥の収蔵庫への侵入を怪盗キッドは予告状を送ります。キッドに対抗すべく集まったコナンや毛利小五郎に先駆けて、キッドをいち早く追い詰めたのは、剣道大会を控えていた西の名探偵・服部平次でした。キッドを追い詰める平次でしたが、キッドのその素顔を見てあることに気づきます。

「100万ドルの五稜星(みちしるべ)」あらすじ、感想、配信について

今年の映画の惹句で添えられているフレーズの通り、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』は、公開前から作中に何かが秘められていることが仄めかされていました。それは公開日を迎える以前の公開体制から表れていました。

例年、映画の公開前に一般試写などを実施していたのですが、今年は試写自体を一切行わないことが事前に発表されました。その理由として名探偵コナン製作委員会は“試写会への招待状とフィルムが怪盗キッドに盗まれた”ということになっており、発表と同時に怪盗キッドからの公開日当日の鑑賞の期待を煽る予告状が公開されていました。

いつもであれば主人公のコナンと怪盗キッドの対決が目玉として描かれるのですが、今年はいつもと違います。今回怪盗キッドの変装を見抜き、直接対決を繰り広げるのは西の名探偵こと服部平次。逃げようとするキッドに対して、平次は収蔵されていた刀で斬りつけようとするほどの気迫で迫ります。

劇場版コナンの特徴として、入場特典によるブーストを行わないことが挙げられる。週替わりで新しい特典を用意することでリピーターを獲得する施策は近年の劇場作品の“定石”だが、純粋に中身だけで勝負して新記録を叩き出せるあたり、圧倒的なコンテンツ力の高さをうかがわせる。親子3代でコナンファンも少なくなく、ファンが代替わりしたり変遷したりすることなく積み上げられている点に(オールドファンが離れない)、『名探偵コナン』の強さがある。本稿ではその部分を加味しつつ、決定的なネタバレを避けてファン目線による『100万ドルの五稜星』の重要ポイントを紹介していきたい。(文:SYO)


名探偵コナン 100万ドルの五稜星(2024年4月12日公開の映画)の作品情報。あらすじ、上映スケジュール、評価・レビュー、関連ニュース。

『100万ドルの五稜星』では、北海道を舞台に新選組副長・土方歳三にまつわる刀をめぐる争奪戦が展開。江戸川コナンと服部平次の探偵コンビが怪盗キッドと対決する物語になっている。本稿では、知っておくともっと楽しめる基礎知識やコアな情報をネタバレなしで紹介する。(文:SYO)

Dom的視点! 名探偵コナン 100万ドルの五稜星 | Discover us

『名探偵コナン』シリーズのファンであれば、今回のキッドの獲物が日本刀と聞いた瞬間に違和感を覚えただろう。というのも、予告編等で「普段はビッグジュエルを狙うキッドが~」という説明がなされる通り、彼はビッグジュエルと呼ばれる特別な宝石を専門にしている。その理由は、キッドの単独作品「まじっく快斗」で描かれるがーー父親の死の真相を突き止めるため。つまり、本来の目的と食い違う行動の裏には、何かしらの個人的な理由があると考えられるのだ。ちなみに過去には、ある人物のためゴッホの絵画『』を狙った劇場版第19作『業火の向日葵』等があり、「キッドの真実」と照らし合わせることで「キッドの掘り下げが行われるに違いない」と予測が立てられる。公開前からファンが盛り上がっていたのには、そうした根拠もあるのだ。

『100万ドルの五稜星』は、名探偵コナンシリーズの劇場版最新作で、北海道・函館を舞台に展開されるミステリーです。

その際は蘭達が現れたことでキスは未遂に終わるのですが、このキスをしかけてしまったという事実を平次は逆恨みしているのか、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』ではキッドに対して「唇を奪おうとした」と執拗に責めることになります。

【ネタバレあり!!】名探偵コナン『100万ドルの五稜星』を初日の朝イチで観てきたのでネタバレしたい✨ ..

物語のきっかけが新選組副長である土方歳三にまつわる日本刀から始まっていたり、自身が剣道部でありその腕前も相当なものである服部平次にフィーチャーした映画ということで、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』ではTVアニメシリーズでも過去に登場した剣道の実力者が登場しています

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この部分に付随するのは、劇場版コナンシリーズの最大の魅力でもあるキャラクターの理解度・解像度の高さであろう。公開タイミングで放送されたNHKの人気番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」による原作者・の密着映像のこぼれ話として、彼が映画の絵コンテ参加のみならず脚本もがっつり監修していることが映し出されたが、第1作から続く原作者との強固なチームアップが劇場版シリーズのクオリティーをさらに高め、内容的にも“ここまで描ける”踏み込んだものにしている。

新作の劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』の舞台は函館。土方歳三が登場し、新選組ファンも楽しめる内容となっています。

キッドの真実、そして平次&和葉の恋ーーこの2本柱が『100万ドルの五稜星』の見どころだが、そこに絡んでくるのがキッドと平次の因縁。実はかつて和葉に化けたキッドを本人と勘違いし、平次がキスをしかけるという失敗をしでかしており、平次はキッドに積年の恨みを抱いているのだ。詳細はアニメ第983-984話「キッド vs 高明 狙われた唇」(コミックス第98巻)を参照いただきたい。ちなみに、キッドはかつて蘭にも化けているがその際はコナンに早々に見抜かれている(アニメ第76話「コナンVS怪盗キッド」/コミックス第16巻)。

ネタバレなし『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』が衝撃的すぎたんだが… そして『まじっく快斗』ファンは歓喜する ..

その究極が本作の“キッドの秘密”であり、コナン・平次・キッドの三英傑による共闘だろう。さらに平次が飛行中のセスナの上で一大アクションを繰り広げるといった映画版ならではのスケール満点なシーンも用意されているが、ただ派手なだけでなくそこにちゃんと“心”が伴うのが重要。原作ファンの目で見たときに劇場版の各々のキャラクターの性格や行動理念にブレがないため、スッと受け入れられるし“推せる”のだ。前出のセスナ機上アクションで平次が言う「忘れんなや」に続くセリフは、彼の代表的なエピソード「浪花の連続殺人事件」と言葉選びが重なるし、和葉についに想いを伝えようとする際の「人には大概、動機っちゅうもんがある」から始まる名ゼリフもそう。ちなみにここは、かつて新一が蘭に告白した際の「厄介な難事件なんだよ」の下りにも通じる“名探偵だが恋心に戸惑う”部分とのミラーリンクを感じさせ、ファンならニヤリとさせられるのではないだろうか。

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』が前作超え確実の勢いでGWを圧勝!“魔の5月”のジンクスを打ち破れるか.

劇場版第27弾となる最新作の舞台は、北海道・函館。斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッドからの予告状が届いた。今回キッドが狙うのは、幕末を生きた新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀だという。一方、西の高校生探偵・服部平次とコナンたちも、函館で開催される剣道大会を訪れていた。犯行予告当日、平次は変装を見破り、キッドを追いつめていく。

コナンと平次と学ぶコナン脱出とは? 劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』の後日譚 ..

サービス満点の『100万ドルの五稜星』だが、実はそのほかにもコアファンを歓喜させる細かな仕掛けがごまんと用意されている。そのひとつが、原作者・ユニバース。そもそも怪盗キッドは青山の別作品「まじっく快斗」を「名探偵コナン」に輸入する形で生まれたものであり、劇中では中森警部やその娘・青子も登場(キッド/快斗にとっては中森警部は思い人の父であり大切な存在のため、劇中で彼が撃たれた際に激しく動揺する)。そして青山のもう一つの代表作「YAIBA」のキャラクターまでもが本作には現れる。ポスターに写っている沖田総司がそうで、既に第263話「大阪ダブルミステリー 浪花剣士と太閤の城」(原作コミックス31-32巻)でコナンの世界に登場済みだが、「名探偵コナン」「まじっく快斗」「YAIBA」3作のキャラクターが1本に集結するのはオールドファン的にはたまらない演出。しかも、函館は新選組最後の地ともいわれており、新選組の一番隊組長だった沖田総司の名を継ぐ彼がこの地で戦う展開は、歴史ロマンとしても心憎い。

水稀 しま『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』のネタバレありの感想・レビュー一覧です。

本稿では観賞前の興を削がぬよう基礎的な部分に留めたが、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』には今回挙げたもの以外にも「このキャラとこのキャラがこういう話をするのは熱い!」「このチームアップ/共闘が観られるのか!」といったキャラ推しの面々を高ぶらせる演出や、劇場版ならではのド派手なアクション、歴史ミステリーとしてのクオリティの高さ、聖地巡礼したくなる名スポットが登場する等々、多角的な楽しみ方をできる“沼要素”にあふれている。二度・三度と観賞するリピーターが生まれることは必至のため、どこまでのヒットを記録するのか興行収入の動向にも注目したい。

【予習・ネタバレなし】2024年コナン映画「100万ドルの五稜星」を観る前に! 見どころとお得な視聴方法を解説 ..

なぜここまでこの二人が目立った登場しているのかにも理由があります。この二人は「名探偵コナン」の原作者である青山剛昌の過去に連載していた漫画「YAIBA」にも登場している人物だからです。「YAIBA」は侍を目指す少年・鉄 刃(くろがね やいば)を主人公とした剣撃アクション作品。刀がキーアイテムとなる映画ということで、TVアニメシリーズだけでなく劇場版でもクロスオーバーを果たしました。